モロッコ人ホストマザーとの冷戦

モロッコ

Hola! メキシコ就労・スペイン院留学を経て、現在モロッコで生活中の流です。
前回の記事では「イスラム教の生理の考え方に対するカルチャーショック」についてお話しました。

今日は、その後に起きたホストマザーとの出来事を紹介します。

ホストマザー、ブチ切れ

まず前回の生理事件の後から、ホストマザーとの関係が少しギクシャクしていた。彼女の言葉、態度が冷たく感じる。それでも、最低限必要な会話をしながら共同生活を送っていた。

そんな中、新たな火種が生まれる事になる。

今回のホームステイでは朝食と夕食が滞在費に含まれており、毎日ホストマザーがご飯を用意してくれる。
日曜日の18時過ぎ、いつもの19時より1時間程早い時間に「夕飯」の声がかかった。

まだお腹がすいていなかったので、「いつも通り19時に食べてもいいですか?」と聞くと、
「あなたが好きな時間、いつでもいいわよ」とホストマザー。

丁度1時間後、夕飯を食べようと自分の部屋を出る。
キッチン・リビングを見渡したが、ホストマザーはいないようだ。

以前、ホストマザー不在時には「自分で冷蔵庫から料理をよそい、コンロで温める」ことを教わっていたので、今回も自分で準備しようとする。

冷蔵庫にあるタッパーからモロッカンサラダを盛り、鍋にある料理を温める。
ガスコンロに火をつけて、料理があたたまるのを待っていた時。

白いお祈り衣装に身を包んだホストマザーがキッチンにやってきた。
そして、私の姿を見た瞬間、凄い勢いで怒鳴り始める。
「あなた何やっているの?!」「勝手にコンロに触らないで!」「食事する時は私に言って!!!」
と勢いある言葉が飛んできた後、料理を温めていたガスコンロの火が消された。

「あなたは座っていて!!」「今後一切、コンロと冷蔵庫に触るな!!」と吐き捨て、
ホストマザーは一度外に出た後、大きなため息をつきながら、キッチンに戻ってきた。

「ごめんなさい。部屋を見ても見当たらなかったので、自分で料理をよそい、温めていました。
それにイスラム教では「礼拝」が大切だと聞いていたので、礼拝の時間を邪魔すべきじゃないと思いました」

と説明しても、聞く耳を全く持ってくれず、ヒステリックに怒っている。
これ以上私も何を言っても怒らせるだけだと思ったので、
「分かりました、次から料理の準備は必ず声をかけます」と伝えた。

机には、“ドンッ” とスパゲティが盛られた皿が激しく置かれる。
「Merci=ありがとう」と伝えるものも、ホストマザーは怒り続けながら、キッチンを出て行った。

話を聞いてくれず、ヒステリックに怒鳴られて、めちゃくちゃ落ち込む。
悲しみ・苦しさの感情が、心の中に溢れかえっている。
つーっと涙が頬をつたうのを感じた。

用意されたスパゲッティも、なかなか喉を通らない。
いつもは完食する夕飯も、この日ばかりは食べきる事が出来なかった。

もうダメだ…。先日の生理の時の衝撃もそうだけど、本当に心にグサグサ刺さる。
気持ちがモヤモヤするけど、今日はとにかく早く寝よう。そうして悲しさを押し込めて、眠りについた。

翌朝、更なる追い討ち

昨晩ホストマザーには怒鳴られ、悲しい気持ちになっても、朝はやってくる。

ホストマザーが朝食(パン+ジャム+ティー)を毎日出してくれるけれど、
今日ばかりは朝の挨拶するのも、億劫に感じる。

だけど、私も大人。しっかり切り替えて、「Bonjour=おはようございます」と自分から挨拶する。
「Bonjour」と、相手からは冷たい「おはよう」が返ってくる。
声のトーンから分かる、

(あぁ…ホストマザー、まだ機嫌直ってない…。)

朝からブルーな気持ちになる。

ただ、そんなのは、序の口。
机に座ろうとしたとき、朝食の横に置かれているものが目に入る。

それは、味噌などの調味料がジップロックに入った私の「日本食調味料セット」。

(うわぁぁぁ…。ホストマザー、”冷蔵庫を使うな“という意図で、冷蔵庫から私の食品を勝手に外に出したんだ…。)

それは無言で置かれた、宣戦布告の証だ。

ショック以外に感情を表す言葉が見つからない。

それは、日本の冷蔵庫から味噌を出されたショックとは比にならない。
なんていたってここは外国。しかもモロッコの私が住む地域には、日本食レストランや、日本の食料品店なんて存在しない。
外国に住む私にとって、日本の調味料は、とても貴重で大切なもの。

だからホストマザーの行動は
「勝手に部屋に入られ、大切なものを外に捨てられた」行為に等しい。

ショックだけど、私だってこんな事をされて、黙って引き下がるわけにはいかない。
勇気を出して、出来るだけ穏やかな声のトーンで、低姿勢でホストマザーに話しかける。

「Ca va bien ?」元気ですか?
「Ca va」 冷たく短い「元気」の返事。

「この調味料を、冷蔵庫に入れたいんだけど…」

と言いながら冷蔵庫を指さすと、
「Don’t touch! 冷蔵庫に触るな!」

とホストマザーは一気に怖い顔になり、強い言葉が飛んでくる。

怖すぎ…。
「冷蔵庫に触らないのは分かりました。でも、もしよかったら、この調味料だけは冷蔵庫に入れておいていただけませんか…?」と丁寧に伝える。
そしたら、「Ouiはい」と冷たく返事が返ってきたので、「Merciありがとう」と伝え、自分の部屋に戻る。

もう嫌だ…。昨晩に続き、朝から本当に落ち込む。
悲しみが、心の中をぐるぐるぐるぐる。

ホストマザーと鉢合わせないように、出来るだけ自分の部屋の外に出ないようにするが、それでも逃げられれない。

私が滞在している部屋には、入口にもベッドの上にも大きな彼女の写真が額縁に入れられて飾ってある。
前を見ても後ろを向いても、彼女の顔が視界に入ってくる。

彼女の声が部屋の外から聞こえてくるだけで、不快な気持ちになる。
(嫌な人間と同じ空間にいるって、こんなに辛いんだ…)
私の場合は滞在期限が決まっているけれど、それでも大きなストレス。

世の中の、お互いの事が大嫌いでも子供の為に離婚しない夫婦や、
馬が合わない義理家族と住んでいる方は、本当に凄いな…と痛感する。

今のホストマザーとの関係は最悪だ。

悲しいこともあるけれど、負けちゃ駄目だ。
辛くても、頑張らなけれれば…と自分を奮い立たせた、悲しみの朝。

本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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